赤外線カメラと光学フィルタで遊ぶ

はじめに

エルデの王を目指しているうちに随分と時間が立ってしまったわけですが,,,

前回赤外線カメラを作ってみた.前回はあまり考えずに JPEG 画像を撮影していたが,それでも,木々の葉は白く水は暗く,赤外線写真の特徴を見ることができた.今回は DNG 画像も生成してより赤外線の特性を活かしたいいかんじの写真を生成したい.

ついでに別の光学フィルタも用意して比べてみる.

RasPi で DNG 画像を生成する

DNG は Adobe が開発した RAW 画像フォーマット.

RasPi OS Bullseye 以降ではカメラ周りのライブラリが大きく変更されているのは既に周知のことと思う.libcamera では -r オプションを使って -o で指定したファイル名と一緒に DNG 画像を保存する.

$ libcamera-still --help
  -o [ --output ] arg                   Set the output file name
  -r [ --raw ] [=arg(=1)] (=0)          Also save raw file in DNG format
$ libcamera-still -r -o $(date +%Y%m%d-%H%M%S).jpg 
$ ls -lh
-rw-r--r-- 1 pi pi  16M May 27 00:13 20220527-001351.dng
-rw-r--r-- 1 pi pi 1.8M May 27 00:13 20220527-001351.jpg

JPEG は各色8bit(約1670万色),RAW は各色12~14bit(678億~4兆色).前回は JPEG で捨てていた色も使ってより赤外線を活かした加工が出来るようになる.

メイン PC で DNG を開けるようにする

画像加工には GIMP を使うが,GIMP 単体では DNG を扱えないので Unidentified Flying Raw (UFRaw) のプラグインをインストールする.GIMPをインストールしていなければ一緒にどうぞ.CentOS 以外の人は,というか大半の人はメイン PC に CentOS 使ってないと思うので,自分の環境に合わせて必要なものをインストールしてください.

# CentOS
$ sudo yum install gimp ufraw-gimp ufraw

フィルタを変えながら撮影してみる

JIS Z8120 によると可視光線とは,

目に入って,視感覚を起こすことができる放射。光線という概念で用いる場合は可視光線という。一般に可視放射の波長範囲の短波長限界は360〜400nm,長波長限界は760〜830nmにあると考えてよい。

ということらしいので,前回適当に用意したフィルタ IR76 ではほぼ可視光線の範囲外の波長を撮影することになる.今回は CS66 も用意してみたので比較してみる.

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光学フィルタは,信号処理で言うところのローパスフィルタ,ハイパスフィルタ,バンドパスフィルタのように,特定の周波数を透過させる性質を持つ.電気と光は色々と共通点があって面白い.

フィルタなし

まずは光学フィルタを通さない素の状態で撮影した写真がこちら.

全体的に赤みがかっているが,やや青みがかった空など若干の可視光要素が見て取れる.

SC66

SC フィルタは下図のように 660nm 以上の波長を透過する.厳密な定義は 富士フィルム光学フィルタ を参照.

IR はなんとなく Infra Red っぽいと言うのは分かっても,門外漢には SC が何を意味するのかピンとこなかった.富士フィルムの定義は以下の通り.

波長300nmから1,100nmの間において,ある波長以下の光をできるだけ完全に吸収し,これより長波長の光を出来るだけ完全に透過するように設計製作したフィルタをシャープカットフィルタと読んだ.

フィルタ番号は,SCまたはIRの次にJIS B-7113に定められた透過限界波長に当たる数値を付したものである.波長傾斜幅は記入せず,また,波長傾斜幅が35nm以上のものをここではシャープカットフィルタとした.

特にシャープカットフィルタの中でも可視光を吸収し赤外を透過するフィルターは,Infra Redの頭文字IRを付した.

富士フィルム光学フィルタ

SC66 で撮った写真がこちら.

IR76

前回適当に用意した IR76.これは約 760nm 以上の波長を透過する.

IR76 で撮った写真がこちら.

加工して比較する

先人たちの教えにしたがっていい感じに加工してみる.

適当にパラメータいじってお手軽それっぽい加工プリセットができた.

  1. 色>色要素>チャンネルミキサー
    1. 赤チャンネル(赤:100→0,緑:0,青:0→100)
    2. 緑チャンネル(赤:0→50,緑:100,青:0)
    3. 青チャンネル(赤:0→100,緑:0,青:100→0)
  2. 色>レベル>自動調整

このお手軽プリセットで加工してみた結果がこちら.

フィルタ無し

空は夜明けの様に赤みがかり,日光に照らされた木々はやや白みがかっている.以降の写真と比べると可視光の影響が大きいことが窺える.

SC66

空は青く,木々は雪が積もったように白く,どこか現実と非現実が入り交ざった不思議な色合い.

IR76

全体的に白っぽく,他の写真と比較して色情報が少ない影響が見て取れる.カラースワップ等の加工処理は色味の変化があまり楽しめない.

おわりに

現実的な色味の中に非現実的な色味のものが自然に溶け込んでいる感じがなんとも言えない魅力を醸し出している.SC66 前後で好みのフィルタを探すのがおすすめ.

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