はじめに
自作キーボードが流行り始めた当時,色々なキー配列のキーボードが登場していく中で,マグネットで自由自在にキー配列を変更できる超画期的なキーボード DUMANG DK6 Ergo がスイッチサイエンスの SSX で取り扱いされるようになり,ついついポチってしまった.
いつかレビュー書いてみようと思いつつ購入してからはや数年.こいつは左右が独立した USB デバイスとして動作していて,専用のソフトウェアで左右の連携動作を実現している.この専用ソフト,まれに左右の連携に失敗することがあって,左シフト押しながら右アルファベットの大文字操作など左右の連携ができない問題が度々発生する.
また左側だけうまく認識されない別の問題も度々併発するようになっていた.しばらく原因不明のままだましだまし使っていたが,去年7月ごろついに認識されなくなった.Type-C ケーブルのコネクタ付近を軽く押してみると,LEDが赤く点滅して警告音のようなものが鳴る.どこかで接触不良を起こしているっぽいのとあわせて,キースイッチ下の制御基板が1箇所だけ故障していたようだった.
しばらく HHKB に戻っていたが,ようやく重い腰を上げて Keyball44 を育て始めたのでその備忘.
Keyball44
当時,某 YouTuber が紹介した影響か,keyball は入荷されれば即完売するほど人気商品で,欲しくてもなかなか購入できない状況が続いていた.未だに白銀ラボウェブショップの品薄状態は継続している様子.細かい説明はすでに多くの人がレビュー等されているので省略.
組み立て
丁寧な組み立てガイドが用意されているので,コレに従って組み立てる.長くなりそうなので詳細は割愛.
部品はこんな感じ.
- Yushakobo Fairy Silent Linear Switch
- Kailhロープロファイルスイッチ Pink
- XVX キーキャップ
- 適当な Choc Low-Profile なキーキャップ
- 壊れた M570 から取り出したボール
- Pro Micro Type-C版
- LED SK6812MINI-E
- TRRSケーブル 自作ケーブルキット
- ケーブル硬めであまりおすすめしない
- マグネットタイプの USB ケーブル
このキーボードは,左右のボール配置が選択できる.また自作キーボードの醍醐味であるキースイッチ沼,キーキャップ沼,TRS/TRRSケーブル沼,トラックボール沼,USB ケーブル沼,さらにはケース,テンティング,パームレストなどなど,組み立て段階から多くの沼を堪能できるので引きずり込まれないよう注意が必要.
組み立ててわかったことを整理.
- 普段マウスを使っている方にボールがあったほうが自然に操作できる気がする
- 親指と小指は意外と非力なので,親指と小指部分のスイッチくらいは軽めのものを選んだほうがいいかも
- テンティングするなら出来るだけ軽いスイッチ選んだ方が相性良さげ
- スイッチやキャップは組み立ててから初めて相性の良し悪しがわかるので,散財しないよう注意
- ボールとボール左隣のスイッチ間が若干遠い
- そのうちキーキャップでカバーしたい
- ボール右隣のスイッチが結構押しにくい
- そのうち手のひらで押せるくらいの高さのキーキャップ作ってカバーしたい
- ホームポジションから手を動かさないのが至高勢が一定数いる気がするけど,たまには動いたほうがいい
Linux でファームウェア修正
udev 設定
接続したデバイスをキーボードとして認識させるのか,ProMicro として認識させるのか,udev を設定してあげる必要がある.私が設定したのはこんな感じ.一応キーボードの分も設定しておく.
$ cat /etc/udev/rules.d/50-qmk.rules
# Keyball44
# Bus 001 Device 120: ID 5957:0400 Yowkees Keyball44
SUBSYSTEMS=="usb", ATTRS{idVendor}=="5957", ATTRS{idProduct}=="0400", TAG+="uaccess"
# ProMicro
# Bus 001 Device 119: ID 1b4f:9205 SparkFun Electronics Pro Micro 5V
SUBSYSTEMS=="usb", ATTRS{idVendor}=="1b4f", ATTRS{idProduct}=="9205", TAG+="uaccess"
$ sudo udevadm control --reload-rules
ここで設定するベンダー ID やプロダクト ID は,デバイスを接続した際のログ,lsusb の結果,公式ファームウェアのソースコード,等で見つけられる.qmk が用意している設定ファイルを使うのもいいかもしれない.
$ sudo dmesg --follow
usb 1-6: new full-speed USB device number 93 using xhci_hcd
usb 1-6: New USB device found, idVendor=1b4f, idProduct=9205, bcdDevice= 0.01
usb 1-6: New USB device strings: Mfr=2, Product=1, SerialNumber=0
usb 1-6: Product: Pro Micro 5V
usb 1-6: Manufacturer: SparkFun Electronics
$ lsusb | grep -i keyball
Bus 001 Device 053: ID 5957:0400 Yowkees Keyball44
この状態までで remap を使ったファームウェアの書き込みやキーマップの変更ができるようになる.
qmk setup
qmk のガイドにしたがってビルド環境を構築する.
ちなみに qmk 環境は以下の通り.
$ qmk setup
...
Ψ Userspace enabled: False
Ψ Git branch: master
Ψ Repo version: 0.24.9
Ψ - Latest master: 2024-05-13 20:20:47 +0200 (fcbbaf4485) -- Fix for RGB color override and brightness for EC Type K (#23703)
Ψ - Latest upstream/master: 2024-05-21 19:49:49 -0700 (7620c64b99) -- Added MATRIX_HAS_GHOST definition for IBM Model H controller (#23744)
Ψ - Latest upstream/develop: None
Ψ - Common ancestor with upstream/master: 2024-05-13 20:20:47 +0200 (fcbbaf4485) -- Fix for RGB color override and brightness for EC Type K (#23703)
Ψ - Common ancestor with upstream/develop: None
Ψ All dependencies are installed.
Ψ Found arm-none-eabi-gcc version 13.2.0
Ψ Found avr-gcc version 13.1.0
⚠ We do not recommend avr-gcc newer than 8. Downgrading to 8.x is recommended.
Ψ Found avrdude version 7.3
Ψ Found dfu-programmer version 1.1.0
Ψ Found dfu-util version 0.11
Ψ Submodules are up to date.
Ψ Submodule status:
Ψ - lib/chibios: 2023-04-15 13:48:04 +0000 -- (11edb1610)
Ψ - lib/chibios-contrib: 2023-11-27 18:15:44 +0100 -- (9d7a7f90)
Ψ - lib/googletest: 2021-06-11 06:37:43 -0700 -- (e2239ee6)
Ψ - lib/lufa: 2022-08-26 12:09:55 +1000 -- (549b97320)
Ψ - lib/vusb: 2022-06-13 09:18:17 +1000 -- (819dbc1)
Ψ - lib/printf: 2022-06-29 23:59:58 +0300 -- (c2e3b4e)
Ψ - lib/pico-sdk: 2023-02-12 20:19:37 +0100 -- (a3398d8)
Ψ - lib/lvgl: 2022-04-11 04:44:53 -0600 -- (e19410f8)
Ψ QMK is ready to go, but minor problems were found
...
Yowkees 様公式のソースは qmk 0.24.9 環境に一部対応していないため,機能追加も兼ねてちょっと修正.参考になるコードを公開してくれている人がいるので助かる.色々と先人の足跡をみてこんな感じに修正.
Yowkees 様のガイドの通り適当にリンク張ってコンパイル.ここではコンパイルに qmk コマンドを使った.バイナリだけ頂戴って人は Releases に hex ファイル貼っといたので持っていってどうぞ.
$ qmk compile -kb keyball/keyball44 -km via_heavymoon
完成したカスタムファームを Pro Micro Web Updater とかを使って書き込む.便利な時代になったなぁ
左右ともファームウェア書き込んだら Remap でキーマップをお好みで修正する.
現状こんな感じに設定.最適解が全然わからん.
キー操作のインストール(人間的に)
キーボードの使い方を脳と体に叩き込む.
タイピング練習といえば,そう寿司打.
記号類をどこに配置するか難しい...
Bを右手で打つクセ直さねば...
おわりに
キーマップの最適解が見つからない...しばらく HHKB も Keyball も効率落ちそう...
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